矯正の知識

開咬(上下の歯が咬み合っていない状態)について

今回は開咬についてです。

開咬とは前歯や横の歯が上下的に接触していない状態のかみ合わせをいいます。

開咬には様々な原因があり、治し方も多岐に渡ります。

原因の1つ目は舌の癖です。以前の舌についての投稿でも説明した通り、舌を前歯の間に入れたり、舌の癖があると開咬になります。

2つ目の原因としては骨格性の要因です。上下の顎がくの字に位置していると開咬の原因になったりします。骨格性の要因の中には遺伝的なものもあれば、後天的に顎の関節が吸収して生じることもあります。

3つ目は歯の上下的位置が原因となっていいるものです。前歯が垂直的に引っ込んでいたり、奥歯が垂直的に出ていたり、その複合のタイプ等があります。

開口による弊害としては次のことが挙げれます。

①前歯(一部の歯)が噛んでいないので、麺類などの食べ物を噛みちぎることができない等、食事のしにくさがあります。

②前歯が噛んでいないことで奥歯の負担が大きくなり、将来的に歯が欠けたり、割れてしまう事があります。通常、成人は食べ物を食べる時に自分の体重と同じくらいの力で食べ物を咬んでいます。一口に15回程度咀嚼したとすると、一度の食事で700回前後咬むことになります。つまり一日で2000回以上、60kgの力が歯にかかるわけです。その時、かみ合わせが良く、全ての歯がかみ合わせに参加している場合は、一本あたりの歯の負担は2kg程度ですが、開咬など前歯がほとんど咬んでいないかみ合わせの場合は一本あたり4kgほどの力がかかってきます。もちろん、開咬以外の不正咬合でも、強い干渉があったりするとその歯の負担は通常よりも大きくなります。そうなると奥歯や干渉している歯は通常よりも早く寿命を迎えることになり割れたり折れてしまいます。

 

開咬の治療については

・前歯を垂直的に出す

・奥歯を垂直的に引っ込める

この2つは矯正治療単独で行うことができます。実際のお口の中の状況にもよりますが前歯の開咬治療で抜歯する場合はワイヤー矯正、非抜歯の場合はマウスピース型矯正装置(インビザライン)を使用した方が得意だったりします。

・手術で顎を切って骨格ごと治す

顎を切る場合は手術を伴うことになりますので入院が必要になります。

・筋機能療法にて舌癖を改善する

等がありますが、いずれも舌の癖が残っていると後戻りをしてしまうので治療中の舌のトレーニングは必須になります。

また、子どもの場合は舌の癖を治すだけで開咬が改善することもありますし、開咬の予防にもなりますので以前投稿した「舌について」も併せて見てみてください。

 

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